命と向き合う医療現場で、自分や周りを笑顔にできる働き方を見つけたい―兵庫中央病院 應本 泰子さん
2024.10.15
共創ストーリー自分らしく働き続けるためには、何が必要だと思いますか?今回は、当社グループが提供する『看護師ワーカー』を通じ、兵庫中央病院で半年前から活躍されている看護師 應本 泰子様、そして兵庫中央病院の人事担当の森山 春樹様にインタビューしました。 現場看護師・人事担当それぞれの立場から、「働く」にかける思いを皆さまにお届けします。

―Profile
應本 泰子(おうもと やすこ)
33年間看護師として勤務し、これまでは消化器外科、内科、透析、療養看護等に従事。2024年1月、当社サービス『看護師ワーカー』を利用し、兵庫中央病院に出会い入社。長期療養を行う当院の呼吸器病棟で、日々患者様と向き合われている。
独立行政法人 国立病院機構 兵庫中央病院
9病棟460床を有し、セーフティネット系医療(神経・筋難病、結核、筋ジストロフィー等)を担当する、兵庫県の拠点専門病院。「私たちは、患者様に真心のこもった良質で効率的なサイエンス・アート(科学・技と心)の医療の提供を目指します」という理念のもと、患者に寄り添ったサポートや地域医療にも力を入れている。

―應本さんの、看護師人生の扉を開いたきっかけを教えてください。
(應本)これまでの人生を振り返ると、仕事におけるターニングポイントではいつも家族が後押ししてくれていたように感じます。私が看護師になったきっかけは、幼い頃から誰かをケアする立場の人が身近にいたことでした。祖父母の介護をしていた母の背中や、私が怪我をしてお世話になった病院の看護師さんのあたたかい姿を見て、もし私が誰かをケアする立場になった時に専門知識があったら良いんじゃないか、そう思いついた先にあったのが看護師でした。
結婚や出産を経て次の看護師としてのキャリアを悩んでいた時に、当時息子がお世話になっていた病院の求人チラシを息子自身が握りしめながら、「ママが次に仕事するなら、この病院がいい」と言ってくれたことが復職のきっかけでした。家族の一言や周りのサポートに背中を押されて今の自分がいる事に感謝をしています。だからこそ、何かあった時に大切な家族を守ることができる、医療の知識を身につけられる看護師として仕事がしたいと心に決めました。
―業務でご多用の中、看護師として長く活躍するには何が大切ですか?
(應本)誰かをケアして支える看護師のような仕事は、患者様との出会いや関わりによって生まれるやりがいが沢山あります。加えて、自分自身を満たし続けることで、自分らしさを失わずに長く働けるのではないかと考えています。
子育てと仕事の両立を目指し、日々のやるべきことに没頭する日々が続いていた頃、子どもの成長を常に間近で見られない葛藤や、子どもに毎日「おかえり」と出迎えてあげられないもどかしさを感じていました。人生において何が一番大事なのかが分からなくなり、一度看護の現場を離れることにしました。仕事も家庭も大事ですが、私が見失っていたのは、自分自身の心に従うことだったと気づきました。年齢とともに仕事や家族等、守るべきものが増えていきます。今だから言えることかもしれませんが、常に自分の心の変化を素直に受け入れ、自分自身を認めてあげられる状況にしていかないと、知らず知らずのうちに負担が増え、守るべきものを守れない状況に陥ってしまうかもしれません。「私は今ここにいるんだ」、「家族や大切な人を守るために仕事があるんだ」と気づくことが、キャリアを見つめ直す一つの柱だと考えます。
―半年前から兵庫中央病院でお仕事をされています。今回はどのように転職活動をされましたか?
(應本)看護師は他職種と比較して、夜勤/日勤専門で働く方、フルタイムで働く方等、勤務スタイルが多岐に渡っていることが特徴です。そのため、自分はどのような生活スタイルで過ごしたいかを心の中で描き、その上で優先順位を付け、自分の生活と両立できる働き方を探すことから転職活動を始めました。
また、「自分が転職を通じて数年後にどうなりたいか」をイメージすることも有効でした。特に、看護師は職場で発揮できる専門分野や業務内容も勤務先によって多岐に渡り、職場に求める内容も、幅広い知識を得たいか、専門知識を突き詰めたいか等、人によって様々です。私には、人生最後まで看護師として生きていきたい信念と、看護師としての知識を幅広く身につけていきたいという強い思いがありましたので、その点も『看護師ワーカー』のキャリアアドバイザーに相談していました。キャリアアドバイザーの方は、労働条件だけでなく、目指すキャリアやビジョンも耳を傾けてくれる方でしたし、限られた合間を縫っての転職活動の中で採用面接や選考のアドバイスを丁寧にしていただいたので、より安心して取り組むことができました。
―当社のキャリアアドバイザーの紹介により、兵庫中央病院にご入社されました。入社の決め手や働いて良かったと思えることを教えてください。
(應本)兵庫中央病院には、新卒から私と同世代の方まで幅広い年齢の方や、キャリアにおける様々な価値観や経験をお持ちの方が働いています。その中で、多様な働き方を師長に相談できる環境があること、様々な患者様を受け入れているので学ぶ機会が多いという恵まれた環境に魅力を感じました。また、看護師は判断や選択を迫られるシーンが多々あります。当院は経験豊富なスタッフも多く、何かあった時に相談しやすいサポート体制があることも働く上での安心材料だと思います。常に緊張感のある医療現場だからこそ、お互いに支え合うチームワークは勿論のこと、「誰と働くか」も重要だと思います。

―兵庫中央病院では、患者様とどのように関わっていますか?
(應本)兵庫中央病院には、神経系や呼吸器系等の長期療養患者様が多くいらっしゃいます。中には海外から入院されている方もおり、環境も言語も異なりかつ行動制限のある病棟の中で、心細い思いをされているのではないかと感じています。国を離れて大きな環境変化のあった方々の気持ちをどう受け止めるか、いかに寄り添えるかを考えていました。些細なことかもしれませんが、患者様との共通話題を持つために、自らその国の文化に触れる機会を作っています。例えば、インドの方がご入院された際は休日にカレー屋へ行き、患者様と「○○を食べて美味しかったよ」とか「どのお店に行ったの?」と、共通の話題で盛り上がることもお互いの喜びの一つです。病気や治療についてお話しすることも重要ですが、気持ちがほぐれ、心が安らぐ時間が少しでも増えるよう、「患者さん」としてではなく「人」として向き合うことを意識しています。
―應本さんが楽しくお仕事をしている秘訣を、是非教えてください。
(應本)小学生の時、学校や遠足に行く前の日にワクワクした気持ちになったのを覚えていますか?朝目覚めた時から「今日は○○さんにこの話をしよう」とか「今日はこんな業務がある」と考えるのが楽しく、病院に出勤して制服を着ると、子供時代に経験した感覚に近い「ワクワク感」が心から湧いてきて、とたんにスイッチが入ります。看護師って大変、辛そう、と言われることもありますが、私は辛いと思ったことは一度もなく、有難いことに毎日充実した気持ちで仕事をさせていただいています。
そう思えるコツとして、仕事は仕事、プライベートはプライベートでメリハリを持って働くようにしています。残業もありますが、できる限り自分で決めた時間内で集中して業務を終わらせるようにします。制服を脱いだらプライベートの私に切り替わるので、家では絶対に仕事の話はしません。そのメリハリがあると、仕事も家庭も自分の中で達成感が持てて、自己肯定感が上がり生き生きと働けるのです。結果として、それが私の家族は勿論のこと、患者様や同僚等、私と関わる人々の笑顔に繋がると信じています。

人事担当 森山様に聞く―兵庫中央病院の職員育成・定着に向けた思い
多様な経験を積める病院で、各看護師が自分らしい「働く」を歩むためのサポートを

独立行政法人 国立病院機構 兵庫中央病院
事務部 管理課 給与係長 森山 春樹(もりやま はるき)様
―兵庫中央病院には、どのような職員様が多くいらっしゃいますか?
(森山)兵庫中央病院には一人の患者様を長期的にケアする慢性期病棟が多いため、患者様に寄り添う姿勢が看護師同士のコミュニケーションでも表れており、気づかいや丁寧な対応が出来る職員が多いです。当院には「真心があり、かつ効率の良い医療を」という基本理念がありますが、真心ある看護には、職員間の円滑なコミュニケーションが必要不可欠だと感じています。そのため、カンファレンスの実施頻度を増やし、交流会も積極的に開催する等、同じフロアの職員以外とも職種を超えてコミュニケーションを取る機会を設けています。その結果、職員が安心して患者様へ良いサービスを提供することに繋がります。当院のこういったカルチャーが應本さんとも波長が合ったのではないかと思います。
―医療従事者の皆様が日々医療現場で命と向き合われている中で、貴院では従事者様にどうあってほしいと思いますか?
(森山)直近のニュースでも医師の残業問題や、看護師の業務負担等、医療現場の労働環境における課題は常に山積しています。先程申し上げた通り、職員に負担がかかっている状態では患者様にも良い医療を提供できなくなってしまうため、職員が働きやすい環境整備は法人全体で取り組んでいる重要課題です。その中でも当院は、ケアミックス病院という急性期病棟や慢性期病棟等が混合している病院ですので、勤務スタイルも多岐に渡っており、各職員が求めるライフスタイルを実現しやすいことが強みです。例えば、より多くの経験を積みたい方は夜勤をしていただき、子育てと両立したい方は夜勤免除制度を利用いただく等、家庭や生活状況が変化しても、その方にあわせたキャリアを選択できる環境が揃っています。だからこそ、應本さんのように自分の人生にとって「働くこと」がどんな存在か、どんな看護・医療をやっていきたいかの明確な考えに沿った働き方を選んでいただければ良いと思いますし、もし「働く」ことに悩んだとしても様々なキャリアを選択している職員が当院には集まっています。職員が専門性を積み、キャリアアップを目指すことができるよう、「キャリアラダー研修」等の研修制度も整えながら長期的なキャリアのサポートをさせていただきたいと思います。
