介護ロボット導入支援の有効性検証を開始

  • 2022.11.11

    PR情報
  • 施設ごとの課題抽出とロボット選定の実施で人手不足・業務効率を改善

    医療・福祉分野の⼈材紹介・派遣サービス事業グループを統括する株式会社トライト(本社:大阪府大阪市、東京本部:東京都品川区、代表取締役:笹井 英孝)は、介護施設へのロボット介護機器(以下、介護ロボット)を導入するための支援業務の有効性の検証を開始します。本検証の実施に先立ち、介護ロボットに関する専門的な知見を有するアルボット株式会社(本社:茨城県つくば市、代表取締役 比留川博久)とアドバイザリー契約を締結しました。

    介護ロボット導入支援全体概念図

    ■介護業界の労働力不足と介護ロボット導入の課題

     介護業界における労働力不足は、2040年度に必要な介護従事者の人数が280万人となり2019年度の介護従事者数211万人を基準として約69万人が不足することが試算され※1、高齢化社会の進行とともに今後さらに進むことが予測されています。この国家的課題の解決に向け、介護従事者の処遇改善、多様な人材の育成や確保、職場への定着促進や生産性向上、外国人材の受入環境整備など総合的な対策が厚生労働省の主管の下で進められています。

     介護ロボットの活用は介護従事者の職場への定着促進や生産性向上に向けた対策の1つとして挙げられ、多種多様な機器が開発されるとともに活用促進が図られてきました。介護ロボットの活用によって、介護従事者の身体的または精神的負担や作業負担の軽減が図られ、従事者の離職低減と職場への長期定着を実現することや、作業効率の向上による介護施設の生産性の向上が期待されています。しかしながら、約80%の介護施設で介護ロボットは未導入であるのが現状です。

     介護ロボット導入における課題は幅広くある中で特に導入コストに注目が集まりますが、業務改善実現への不確かさ、適切な機器の選択や使いこなす技術への不安など施設ごとの状況を俯瞰的に判断し、導入における具体的かつ総合的な支援を受けられる体制が不足していることも解決が急がれる課題です。

    介護ロボットの導入状況

    ■今回の介護ロボット導入支援の有効性検証における実施内容

     今回開始する検証においては、介護ロボットの導入が介護従事者の業務負担軽減と業務効率改善につながるための具体的支援のあり方を、以下の項目を実施することにより確認します。本検証は、アルボット社との契約に基づき、産業技術総合研究所ロボットイノベーション研究センター長も務める比留川氏、厚労省参与も務める本田氏による介護ロボットの活用における専門的知見からのアドバイスのもと、介護ロボットメーカーと介護施設の協力を得て実行されます。

      ①業務分析に基づく課題の抽出とその目標設定

      ②改善目標に沿った介護ロボットの選定

      ③ロボット活用を前提とした業務フローや現場オペレーションの再定義支援

      ④新たに定義したフロー・オペレーションの定着支援

     

     当社グループは、グループ内企業の株式会社トライトキャリアにおいて医療・福祉業界に向けた人材紹介・派遣の事業で人手不足の課題解決に貢献をしてきました。高齢化が進行する中においては介護の労働力不足を従事者数の増加によって急速に改善するには困難が伴い、課題解決には従事者の定着率や業務効率の改善も同時に進めていく必要があります。当社は今回の検証を通じて、介護ロボットの効果的な活用が行われるための導入から活用への具体的なプロセスを明確にすることで、介護従事者の負担軽減や作業効率の改善につながり、介護の仕事の魅力がさらに向上することへ寄与するよう努めてまいります。

      

    アルボット株式会社 代表取締役 比留川博久氏のコメント

    比留川博久

    国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)は「ロボット介護機器開発等推進事業」等により介護ロボットの開発を支援し、厚生労働省は介護ロボットの普及を促進されてきましたが、普及の速度は遅々としております。今回の検証では、国立研究開発法人産業技術総合研究所での事業に従事した経験を活かして、介護ロボットの利活用法の検討、導入目標に沿った選定方法の整理等を通じて、介護ロボットの導入における課題解決を目指します。           

    <比留川博久氏略歴>

    アルボット株式会社代表取締役。産業技術総合研究所 ロボットイノベーション研究センター 研究センター長、経済産業省『ロボット介護機器開発・導入促進事業』のプロジェクトリーダー等を歴任。産業技術総合研究所 情報・人間領域 招聘研究員。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)​長寿科学研究事業 科学技術調査員。

    アルボット株式会社 取締役 本田幸夫氏のコメント

    本田幸夫

    新型コロナ感染症の影響でフレイルになる高齢者が増加し、慢性化している介護の労働力不足の問題は今後ますます大きくなると予想されます。今回トライト社が進める介護ロボット導入における課題を明確にし、有効な導入支援を検証する試みは、介護分野の生産性を大幅に向上させ科学的な介護による介護の質の高位平準化を実現する可能性があります。本活動が人材不足と介護の質の向上という社会課題を解決していく切り札になると期待しています。

    <本田幸夫氏略歴>

    アルボット株式会社取締役。パナソニック株式会社R&D部門ロボット事業推進センター長、大阪電気通信大学、大阪府立大学大学院客員教授、​大阪工業大学教授等を歴任。​厚生労働省 介護ロボット担当参与​。AMED『ロボット介護機器開発・標準化事業』​プログラムオフィサー​。東京大学大学院 工学系研究科​ 人工物工学研究センター 特任研究員、大阪大学大学院医学系研究科 招聘教授。

    ※1 令和3年7月9日発表 厚生労働省 第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について

    閉じる