【保育士の転職・再就職実態調査】
2022.02.24
PR情報離職理由トップは「人間関係」、新職場で重視する項目は「通勤時間」
~年齢・経験年数・就業状況で職場や働き方への希望に差異、7割が面接で不安を感じる~
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医療・福祉分野の⼈材紹介・派遣サービス事業を行う株式会社トライトキャリア(本社:大阪府大阪市、東京本部:東京都千代田区、代表取締役CEO:笹井 英孝)は、保育士2,736名を対象に、「保育士の転職・再就職実態調査」を実施しました。
本調査では、「離職理由」「転職・再就職先に期待する項目」「採用面接で好意的に感じた項目」「採用面接で不安を感じた項目」の聴取を行いました。調査結果より、保育士の離職理由として「職場の人間関係」は全体では最も多い理由となるものの、年齢や就業状況によっては、結婚や出産子育てなどのライフイベント関連が最も多い離職理由となることが判明しました。また、転職先・再就職先に期待することを在職・離職別で比較すると、在職中では「希望の給与水準」がより高い割合で期待する項目となり、離職中では通勤・労働時間・休暇等のライフスタイルと連動する項目の選択割合が高くなるなど、年齢、経験年数、就業状況などの状況によって重視する項目に差異が現れることが判明しました。
本調査の詳報は、こちらよりご覧いただけます。
【調査実施の背景】
保育の受け皿を整備するために平成30年度より進められた「子育て安心プラン」に続き、令和3年度から令和6年度末までの期間を定め「新子育て安心プラン」※1が実行されています。「新子育て安心プラン」では、早期の待機児童の解消を目指すとともに、女性の就業率の上昇に対応できる環境整備が進められています。
このような状況を背景に保育士のニーズは高く、保育所等の福祉施設で勤務する保育士の総数も増加傾向にあり、現在約 60万人の保育士が働いているとされています。その一方で、保育士資格を保有しながらも何らかの理由で保育職に従事していない潜在保育士と言われる人も約95万人いるとされ※2、こういった人々の保育現場への復帰に向けた働きかけや環境整備が進められています。
高い保育士ニーズを充足する保育人員の確保を継続的に行っていくためには、保育職と保育現場がともに現状よりさらに魅力ある仕事であり職場であることが必要です。本調査は、転職・復職を希望する保育士の離職理由や、転職や復職にあたっての選考過程での経験を通じて、保育士の就業上の希望や課題を複数の角度から見出すことを目的として実施しました。
※1厚生労働省 新子育て安心プラン
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000717624.pdf
※2厚生労働省 令和2年8月24日「保育士の現状と主な取組」
https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000661531.pdf
【調査項目】
●離職理由
●転職・再就職先に期待する項目
●採用面接で好意的に感じた項目
●採用面接で不安を感じた項目
【主な調査結果】
●保育士の離職理由となるのは、「職場の人間関係」(38.2%)が最も多く、次いで「仕事量が多い」(31.8%)、「保育方針の違い」(23.6%)が続くが、年齢や就業状況を分類して比較するとライフイベントの影響が大きくなる
●転職・再就職先に期待することは、「通勤が便利」(47.3%)が最も多く、次いで「希望に合った労働時間」(40.3%)、「希望の給与水準」(38.3%)が続く
●転職先・再就職先に期待することを在職・離職別で比較すると、在職中では「希望の給与水準」がより高い割合で期待する項目となり、離職中では通勤・労働時間・休暇等のライフスタイルと連動する項目の選択割合が高い
●採用面接の施設側の対応で好意的に感じたことでは、「丁寧な施設説明」(50.1%)が半数以上の人に選択され最も多い
●採用面接での施設側の対応で不安に感じたことで「特になし」を選択した人は3割程度(32.5%)にとどまり、7割の人が何かしらの不安を感じている
●採用面接で好意的に捉えられることも不安に感じられることも、施設や勤務に関する詳細な説明の有無によって変化している
【調査結果詳細】
(1)保育士の離職理由
「職場の人間関係」が最も多いが、属性で分けるとライフイベントの影響の大きさが明らかに
①全体
- 保育士が離職の理由として多く挙げたのは、「職場の人間関係」(38.2%)が最も多く、「仕事量が多い」(31.8%)、「保育方針の違い」(23.6%)が続く
- 給与の安さによる理由は全体の4位となっており、当社グループが実施した「介護・看護・保育職の給与実態調査」※3で明らかになった調査対象の約半数が現状の給与に不満を感じている実態とも関連性が見られる
※3 2021年12月27日 介護・看護・保育職の給与実態調査
②年代(20代・30代)・就業状況別
- 20代は30代と比較すると「職場の人間関係」や「仕事量が多い」ことが離職理由としてより強く表れる
- 離職中の人で比較すると20代は「結婚」が高い割合(21.8%)を示し、30代では「子育て・家事」が約半数(46.4%)が最も多く、「妊娠・出産」が(28.8%)が続く
(2)転職先・再就職先への期待項目
全体では「通勤が便利」が最も多いが、属性や就業状況によって給与への期待やライフスタイル重視などの特性が明確に
①全体
- 次の職場に期待することは「通勤が便利」(47.3%)が最も多く、「希望に合った労働時間」(40.3%)、「希望の給与水準」(38.3%)が続く
②年代(20代・30代)・就業状況別
- 同じ年代で比較すると、在職中の方は「給与水準」に高い割合で期待が表れる
- 離職中の方は、通勤・労働時間・休暇等のライフスタイルと連動する項目の選択割合が高い
③経験年数別
- 経験1年未満で離職や離職の検討状態にある人は、「やりたい仕事内容」・「資格・技能が生かせる」の割合が顕著に高く、経験の浅い時期に実際の業務内容が希望と合致しているかを見極めることの難しさがうかがえる
- 「希望の給与水準」を選択する人は経験年数が長くなるにつれ割合が高くなる
(3)採用面接時に好意的に感じたこと
「丁寧な施設説明」が半数以上の人から好意的に捉えられる一方で、2割が好意的に感じたものがないと回答
①全体
- 「丁寧な施設説明」を半数以上(50.1%)が選択し、当該施設で働くイメージが持てるような説明の重要さが表れている
- 「特になし」を2割以上(22.8%)が選択し、採用面接時に施設側の熱意が十分に伝わっていない可能性がある
②年代(20代・30代)・就業状況別
- 「丁寧な施設説明」がいずれの年代・就業状況においても最も好意的に捉えられている
- いずれの年代でも「希望休の説明」は在職中より離職中でより高い割合で選択されており、離職中の人の離職理由でライフイベントが上位になる状況が反映されている
(4)採用面接で不安を感じた項目
不安を感じていない人は3割にとどまり、7割が面接での対応や内容に不安を感じている
①全体
- 「面接が短時間で終了」「園説明が少ない」「園見学なし」などが上位となり、施設の状況が十分に わからない状態に不安を感じる人が多い
- 「特になし」と回答した人は3割程度(32.5%)にとどまり、約7割の人が採用面接時に何かしらの不安を感じている
- 採用面接で不安を感じる項目は、年齢や就業状況や経験年数などによる顕著な差は見られず、どのような状況の候補者に対しても施設の状況や働くイメージが十分に伝わる対応が求められている
本調査では、保育士の転職・再就職における関連項目を年代や就業状況、経験年数等で比較を行いました。離職理由は全体では「人間関係」が最も高い割合を占めるものの、年齢や就業状況別に見ると結婚や出産などのライフイベントが大きく影響していることが判明しました。また、新しい職場へ期待することや、採用面接で好意的に感じられたことは、年代や就業状況によって差異が見られるものの、採用面接で不安に感じることは年代や就業状況等での比較では差異が認められませんでした。保育園等での施設側においては、候補者の状況を把握した上でそれぞれに応じた採用活動を行うことが必要である一方で、候補者が不安に陥らないような対策は属性に関わらず共通して行えることがわかります。
トライトキャリアでは、「ひとりの明日を変えることから、社会の未来を変えていく。」というグループビジョンの実現を目指し、今後も医療福祉分野の持続的な施設運営に向けた採用や定着、働きがいのある社会の実現に貢献する情報を発信してまいります。
【調査結果概要】
調査方法:電話調査・対面調査(含オンライン)
調査母集団:当社登録ユーザー
調査対象:10代から60代以上の保育士男女3,066名(内、有効回答数 2,736)
調査期間:2021年9月1日〜9月30日
【株式会社トライトキャリア概要】
株式会社トライトキャリアは、医療・福祉業界の人材紹介・派遣サービスを行う会社です。「ひとりの明日を変えることから、社会の未来を変えていく。」というグループビジョンのもと、医療・介護・保育業界を取り巻く慢性的な人材不足とそれに起因する課題の解決へ寄与することを目指しています。
本社所在地:大阪府大阪市北区曽根崎2-12-7 清和梅田ビル13 階
東京本部:東京都千代田区有楽町2-7-1 イトシアオフィスタワー16 階
代表取締役CEO:笹井英孝
トライトグループ:https://tryt-group.co.jp/
トライトキャリア:https://tryt-career.co.jp/